ELDEN RING

【ELDEN RING】考察用資料:宮崎英高氏インタビュー

2022年3月26日

考察に関係のなさそうな記事は省略

要点抜粋

※宮崎氏の発言した部分に絞って抜粋

ファミ通

  • どっしりとした、王道を行くものとして企画されました
  • 本作ではRPG部分を重視している
  • 私自身がマーティン氏の作品の大ファン
  • 氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)』はもちろん、『タフの方舟(Tuf Voyaging)』シリーズも好きでしたが、あえてひとつ挙げるとすれば『フィーヴァードリーム(Fevre Dream)』ですね。個人的には吸血鬼モノの傑作のひとつ
  • 実際の協働においては、マーティン氏は私の持っていたテーマとイメージ、あるいはさまざまなゲーム的都合を丁寧に確認してくれました
  • 彼が本作の神話を書き下ろしてくれたのです。それは魅力的なキャラクターたちとドラマ、神秘と謎に彩られていました。
  • “ELDEN RING(エルデンリング)”は本作の世界を定義する、神秘に与えられた名前
  • それは“砕かれた”わけですが、それがどういう意味を持つのかは本作の大きなテーマになろうと思います。
  • {神肌の使徒のコンセプトアートについて}
    本作の世界あるいは物語が持つ、一種の異様な側面、ほの暗さを象徴するキャラクターとして選びました。
    『ELDEN RING』は王道のダークファンタジーではありますが、決してそれだけではないということです。
    そしてあのキャラクターは、その一種の異様さのほかに、もうひとつのテーマの象徴でもあります。
    それは人の意志、あるいは野心です。
  • 本作『エルデンリング』の目指したところは、ひと言で言えば『ダークソウル』シリーズの王道進化です。
  • 本作を強固なストーリーを辿るようなゲームにする意図もありませんでした。また、マーティン氏のビジョンを、我々のゲームの都合で曲げるようなことも、望んではいませんでした。
  • そうしたいくつかの事情、意図により、「我々が作るゲーム本編のはるか昔、その前提、土台となるような神話を書いていただけませんか」という話になったわけです。
  • キャラクターのドラマは、複雑な血縁と関係性の上に成り立っていました。それは神話であると同時に歴史、あるいは叙事詩でもあり
  • 本作は、たとえば『SEKIRO』のような、特定の主人公を想定していません。
  • この世界には“狭間の地”と呼ばれる、黄金樹に祝福された土地があります。
    その地は、マーティン氏の神話の舞台であり、“デミゴッド”と呼ばれる一族、神たる女王マリカの血を受け、とくに強い祝福を受けた英雄たちが治めています。
    そして、その“狭間の地”にあるとき、祝福を失くす人々が現れます。
  • 祝福を受けた者は、すべてその瞳に黄金の光を宿しているのですが、その光を瞳から失ってしまった人々です。
    彼らは、瞳にあるはずの黄金の光が褪せてしまった人々ということで“褪せ人”と呼ばれ、“狭間の地”を追放されてしまいます。
    本作の主人公となる“褪せ人”は、そうして“狭間の地”を追放された人々の子孫なのです
  • そしていま、黄金樹の祝福の根源たるエルデンリングが砕けたとき、“狭間の地”の外にある“褪せ人”のもとに、かつて失くした祝福が、ふたたびもたらされるわけです。
    “狭間の地”、エルデンリングへと誘い、その王になれと囁く“導き”として
  • それは明確な“祝福の導き”としてあります。
    本作の世界観的には、それは神の啓示に近いものですが、一方で絶対的なものではありません。
    “導き”に従うのも、疑問を持つのも、プレイヤーの自由です。
  • 世界観的な側面を離れると、“導き”は最初のガイドという役割もあります。
  • ストーリーテリングの基本的な方針は変わっていません。
    ただ、あくまでも当社比ですが(笑)、物語の基本的な部分はいままでよりわかりやすくなっていると思います。
    また、断片によって紡がれる物語は、いままでよりも大きく重層的になっていると思います。
  • ゲーム内のテキストは宮崎さんが監修を?
    膨大な量なので難しいところもあるのですが、基本的にはすべて目を通すようにしていますし、かなりの部分を直接書いていますね。
  • 『ダークソウル』らしさには拘泥せず、また逆に、結果として『ダークソウル』シリーズに似てしまうことも忌避せず、我々が培ったもろもろのノウハウを率直に活かし、新しいダークファンタジーを作ろう、というのが、本作の方向性かと思っています
  • 本作のボスとして特徴的なのは、マーティン氏の神話に登場する“デミゴッド”ですが、彼らは単に強大である、あるいは異形であるのではなく、何らか英雄的、神話的であることを重視しています
    “デミゴッド”たちには、どれもしっかりとしたバックボーンがありますので、単にボスとしてだけでなく、キャラクターとして魅力的にしたかったのです。
  • 過去のタイトルに比べて任せる部分が増えたのは事実なので、物事の結論だけでなく、方針や考えかた、あるいは思考の過程などをできるだけ言語化し、共有するように意識しました。
  • その神話は、神秘とともに、複雑で興味深い人間関係を描いており、我々が作るもろもろに、歴史とも呼ぶべき重層的な深みを与えてくれました。
    重要な敵キャラクターのデザインや、マップの意匠、NPCの設定などに、それを感じてもらえればうれしいですね。
  • マーティン氏に神話の執筆をオファーする際に、“リング”を巡る物語であるとか“黄金樹”といったキーワードなど、何かしらの具体的なコンセプトを説明されたのでしょうか?
    はい。当初は“リング”とは呼ばれていませんでしたが、エルデンリング的な存在と、それが砕けるという契機のイメージは、お話ししたかと思います。
    ただし、それはあくまでも抽象的な概念として話され、黄金樹などの具体的モチーフは、そのころはまだ存在していなかったと思います。
  • 本作における物語の語りかたの基本的な方針は、『ダークソウル』シリーズと変わりません。
    テキスト情報は断片的に提示され、ユーザーさんの頭の中でつながる、あるいはユーザーさんに想像してもらうことを意図しています。
    そうした理由は、まずゲームプレイそのものが、ユーザーさんの物語になってほしいからです。
    ただ、NPCの会話などは、過去作よりは率直になっていると思います。
  • エルデンリングが砕けた後、その破片である大ルーンを得たデミゴッドたちが、エルデの王の座を巡り争う。それが破砕戦争です。
  • 何者かがエルデの王になった後のイメージは、実際にゲームで体験してもらったほうがよいでしょう。
  • 狭間の地の人々は、黄金樹に祝福され、その瞳に黄金の光を宿しています。
    けれど、やがてその光を失う人々が現われ始めます。
    彼らは“褪せ人”と呼ばれ、狭間の地を追われるわけですが、その子孫が主人公であり、ほかの褪せ人たちであり、といったことになります。そしてエルデンリングが砕けた後、狭間の地を追われた褪せ人たち、死にきれずにいた者たちに、祝福の導きが訪れます。
    狭間の地に戻り、エルデンリングに見え、エルデの王になれと。それが本作の始まりです。
  • 『ダークソウル』シリーズの主人公との大きな違いは、祝福の導きの存在でしょう。
    本作では、主人公を導かんとする明らかな意志が存在し、それと向き合うことになるのです。
  • 祝福に導かれて狭間の地に至り、エルデの王たらんとする褪せ人は、主人公以外にも多く存在します。
  • メリナは、『ダークソウル』シリーズの火防女たちとは、また違ったニュアンスがあります。
    彼女は、自分の意志を持った、主人公と対等なパートナーであり、あえて神秘性を重視せず、素顔を晒すデザインにしています。
    メリナは、失くした使命を探すために黄金樹の麓を目指しており、そこに連れていくことを条件に、主人公に協力を申し出ます。
    その使命が、主人公の物語にどのように関わってくるのかは、実際にゲームで体験してもらえればと思います。
  • 本作では攻略の自由度を重視しており、各地域にどのように、またどういう順で訪れるのかも、ある程度自由になっています。
    また、大ボスをゲーム進行の避けられない関門にすることも、かなり抑えているのです。
  • 狭間の地における教会は、基本的に、すべて黄金樹信仰のものです。
    それは、狭間の地でもっとも一般的で、支配的な信仰、宗教でした。
    ですが、狭間の地には、黄金樹信仰以外の宗教も存在しています。
    黄金樹信仰が広まる以前の、古い信仰はまだ生き残っていますし、黄金樹信仰の衰退により、新しい信仰も生じているのです。
  • 宮崎さん自身がプレイヤーとして好きな戦闘スタイルは?
    肉を切らせて骨を断つ的な、タフなキャラクターが好みですね。要所でゴリッと押し込めるような。
  • デミゴッドに共通するデザインコンセプトは、英雄的であることですね。
    もちろんそれは、我々が広義で解釈する“英雄的”ということですし、かつて英雄であった者たちが、敗れ、堕落し、歪み、変質し、異形になり果てた、といったところまでを含んだものですが。
  • デミゴッドも含めてNPCの声優の選定には宮崎さんも関わっているのですか?
    本作に限らず、自分で脚本を書くすべてのタイトルについて、キャスティングはすべて私自身で行っています。
    やりかたに特殊なところはなく、ごくふつうに、そのキャラクターと求める演技に合った役者さんを選ぶのですが、ひとつ特徴を挙げるとすれば、同じ英語であっても、言語圏にこだわっていることでしょうか。
    設定によって、このグループはケルノウ系、このグループはウェールズ系など可能な限り英語のニュアンスを調整するようにしています。

IGN Japan

  • 指輪物語は特に参照していないです。
    ファンタジー小説の古典なので、当然なにかしらの形で影響を受けてはいますが、モチーフにはしていません
  • 『Elden Ring』はこの世界を定義する神秘的な要素、ルール、リズムですね。
    トレーラーを見てわかるように、それが砕けてしまったところから物語、あるいは世界が始まります
  • {「狭間の地(the lands between)」という舞台のネーミングもまた、マーティン氏の考案したものらしい。}
    我々は『狭間の地』という名前に非常に刺激を受けました。
    それは神話の始まりの場所というニュアンスがありますが、他にもいくつか別の解釈があって、そのあたりは追々、明かされていきます。
    『狭間の地』の正体が謎として提示されると考えていただければいいかと思います
  • 『褪せ人』というのは、元々は『狭間の地』にいた人々のことで、エルデンリング・黄金樹の祝福を受けていました。
    黄金樹の祝福を受けている人間は瞳に金色の光を宿します。
    ただ、あるときにそういう光が宿らなくなった、祝福を失った人々がいて、それが褪せ人なのです。
    この祝福をなくした褪せ人は狭間の地から追放されます。
    プレイヤーは追放された褪せ人の子孫です。
    追放された後、長い時間が経って、祝福の大元であるエルデンリング・黄金樹が砕けてしまうという事態が起こります。
    壊れたときに、外に追い出されたはずの『褪せ人』がもう一度『狭間の地』に戻れるようになります。
    帰ってこられて、なくした祝福がまた新しい使命として訪れるというのが物語の始まりになります
  • 今作に登場する大ボスはどれもマーティンさんが書いてくれた神話の登場人物なんですよ。
    半神(デミゴッド)と呼ばれる古い英雄たちで、彼らは砕けたエルデンリングの欠片を通して歪んだ力を得て狂った、というのが今回のボスたちです。
    どのボスもなんらかの形で英雄的だったり、神話的だったりする部分を持たせています。
    単なる化け物ではなくて、かつては英雄であり、神だったという設定を非常に重視して作っていますね。
    もちろん、あくまでフロム・ソフトウェア的な意味での英雄や半神なので、にわかには信じてもらえないのかもしれないんですけど、そういうテーマでやっています(笑)
  • {ボスたちそれぞれが得たエルデンリングの破片に応じてデザインの方向も変わったそうだ。}
    どんな欠片でどのように狂ってしまったのかというのが今回のボスのデザインであり、部下たちのデザインにも共通していますね
  • 神話がある状態でゲームシステムを検討しているので、そこは大きく違うところだったのですが、すごく新鮮でよかったですね。
    マーティンさんはゲームシステムと致命的なバッティングがあったら、システムを優先していいよと言ってくれていたのですが、そもそもそういうところはあまりなくて、刺激になった部分の方が多かったかと思っています
  • {一方で、そこから先の「肉付け」の部分は「ゲームに必要なものを世界観に落とし込んでいく」という宮崎氏の従来のやりかたで行われたらしい。}
    例えば、プレイヤーは広くて謎の多い世界に放り出されたときに指針がないと大変だろうということで、ガイドが必要だなと思って、褪せ人に対して『祝福の導き』がもたらされるという設定を入れました
  • {宮崎はマーティンに対し、本作のストーリーやゲーム内テキストではなく歴史のみを構築してほしいと伝えることができたという。}
    まず、私が思い浮かべていた神話のおおまかなテーマやアイディア、そして私たちがよく作るゲーム、ゲームで表現したいテーマを伝えました
    どれもかなりおおまかで漠然としていました。それなのに、マーティンはたくさんのアイディアを持ってきてくれたんです。”これはどう? こっちもいいと思うけど”って。そのやり取りから、意見交換が始まりました

PlayStation.Blog

  • この世界では黄金時代が過ぎ去っており、プレイヤーはその痕跡を目にできるというのが、演出したかった感覚です。
  • 異形感と美の感覚のバランスは、「DARK SOULS」シリーズのボスキャラクターによく見られます。
    『ELDEN RING』では少々異なるアプローチをしました。
    というのもジョージ・R・R・マーティン氏による世界設定や神話とともに、彼が書き上げた全く新しいキャラクターがいるからです。
    ジョージさんは、とても英雄的で壮大なキャラクターを書いてくれました。
    本質的には『ELDEN RING』の世界の歴史に登場する半神という設定です。
    そのため、ジョージさんのデザインを活かして、キャラクターとそのデザインに新たな核を作りたかったのです。
  • これまでに公開したボスのデザインで、英雄的なコンセプトと『ELDEN RING』の欠片の力による歪曲、変形をよく表していると感じるものは、「接ぎ木のゴドリック」です。
    ゴドリックは、治世の終りを迎えたことで悲哀と不満を内包し、未だ残った力に必死にしがみつこうとしており、気に入っています。
    こういった意味で、ゴドリックは新しいデザインアプローチの素晴らしい体現者と言えます。

Game Informer

※DeepL翻訳

  • Elden Ringのストーリーと設定上、この世界には特に恐ろしいものが存在し、それが持続しています
  • マーティンがこれらのキャラクターを書き、エルデンリングの世界の神話の起源を提供したとき、これらの半神は彼らの本来の姿に近く、「粉砕」の前、すべてが始まる前の当時は人間の姿に近かったかもしれません。
    だから、それをどう解釈して、「どうしてあんなに非人間的な怪物になったんだろう?そして、粉々になったエルデンリングの破片とその力による狂気の汚れは、彼らにどのような影響を与えたのだろうか?それが、この壮大なヒーローたちを、ある種、形を変えて、彼らでないものに歪曲させる我々の仕事でした」と、ゲームディレクターの宮崎英高氏は語る。
  • 宮崎さんが好きなマーティンのキャラクターは?ライカードという謎の人物。
    この人物については、今は名前以外の情報はないのですが、おそらく相当なドSになるはずです。
    "欠点を持った非常に人間的なキャラクター、しかし非常にドラマチックで英雄的なキャラクターを、基本的に壊して、この不格好でグロテスクなモンスターにするというプロセス…それは個人的にとても楽しかったです。"

ムック本

※出版物のためそのまま抜粋ではなく、軽い要約形式で記載

  • 黄金樹は世界観の芯であるエルデンリングの視覚化であり、本作のキービジュアルになるよう考えた
  • 月には重要な役割があり、世界観と物語に深くかかわる
  • 本作の世界観は情報量が多く、その情報量を表現する手段のひとつとして、紋章や絵画、意匠を利用している
  • 紋章は、多くの系統が存在する魔術や祈祷を端的に示す記号(学院の魔術、王家の魔術、黄金樹の祈祷、二本指の祈祷など)
  • セレンは学院を追放された魔術師。学院の魔術師が被る複数種類の石仮面は、それぞれ魔術を学ぶ教室の名前が付けられている
  • Q:侍の格好は世界観を広げるための一環?
    A:そんな大袈裟なものではなく、「ウィザードリィ」が好きな影響で、和風装備をファンタジーに入れたくなってしまうため
  • メリナについて
    ・Q:瞼の三本の傷は? A:ネタバレになるので教えられない
    ・過去作の火防女と違い、自分の意志を持つ
    ・プレイヤーにただ傅くわけではない、対等な存在
    ・火防女に似た存在は”指巫女”
    ・プレイヤーキャラはその指巫女を失くした”巫女無し”
  • Q:”死にきれない者”とされる褪せ人の不死性とは?過去作の”亡者”と何が違う?
    A:褪せ人の不死性は祝福の導きに起因
      祝福の導きが褪せ人を目覚めさせ、狭間の地へと招くが、導きがプレイヤーキャラを解放してくれない
  • Q:デミゴッドも祝福で不死性を得ている?
    A:それは別の話であり、デミゴッドの不死性は、エルデンリングから運命の死が取り除かれていることに起因
  • ゴッドフレイは最初のエルデの王、女王マリカの伴侶、過去二人いたエルデ王のひとりで、彼は褪せ人とも深い関係あり

参照

ファミ通

IGN Japan

PlayStation.Blog

Game Informer

ムック本

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