CNT(クローズドネットワークテスト)で明らかになった事などから、エルデンリングにはクトゥルフ神話のようなコズミックホラーやSF要素がかなり関わってくる可能性が出てきました。
過去作Bloodborneでの世界観の移り変わりのように、序盤はファンタジーに寄せておいて、後半からはSF要素強めのストーリー展開になりそうな予感がします。
ディレクターの宮崎さんは奥深い世界観構築の天才であり、Bloodborneでもコズミックホラーを多く取り入れていますし、その宮崎さんが影響を受けたといわれているジョージ・RR・マーティンさんもHP・ラヴクラフト作品に親しみがあり、ご自身の作品にも多くのSF展開を取り入れています。
この2人がタッグを組んでエルデンリングの物語を作ったとのことなので、ファンタジーだけではなく2重にも3重にも世界観やストーリーに捻りを加えてある可能性が高く、その捻りの一つとして、SFや超科学のような要素が盛り込まれているのではと各所で話題になっているわけです。
ただ、個人的にはこの特別なタッグが、1度使ったストーリー展開の手法を、はたして再度使ってくるか?と思っています。
SFは大好きなので嬉しいですが、さらに想像を超える展開があるのではと期待しちゃいます。
今回はその中で行われたネットワークテストの中で出てきたアイテムテキストやNPCとの会話などから、クトゥルフ等のSF的展開に関わりそうな部分をまとめてみました。
目次
マーティン氏のインタビュー
作者のジョージ・R・R・マーティンさんのインタビューでは、「ELDEN RINGではファンタジーとSF(サイエンスフィクション)を大きな要素とする世界観を構築した」と語っている。(ELDEN RINGについての部分は2:50~)
ステータス
・ステータス「神秘」
エルデンリングではBloodborneと同じくアイテム発見力に影響するほか、"死耐性"もこの能力値から算出されるようです。
・状態異常「発狂」
発狂の状態異常になるとHPとFPに大ダメージを受けます。下記の正気耐性が削られてゼロになると発狂状態になります。
・「正気耐性」
いわゆるSAN値(Sanity=正気値)と呼ばれるものだと思われます。
元ネタは恐らくHP・ラヴクラフトによるクトゥルフ神話TRPGなど。
各種テキスト(SF要素)
魔術師セレン 初対面時セリフ
Tarnished, are we? A wonder you should turn up here.
Our are draws upon the powers embedded in glintstone, but what is the nature of such power?
Glintstone is the amber of the cosmos, golden amber contains the renmants of ancient life and houses its vitality,
while Glintstone contains residual life. And thus, the vitality of the stars.
It should not be forgotten that glintstone sorcery is the study of the stars and the life therein.(▼DeepL翻訳の意訳)
…あなたは褪せ人?あなたがここに来たのは不思議ね。
私たちは輝石に込められた力を利用しているけれど、その力って一体何なのでしょうね?
輝石は宇宙の琥珀…黄金の琥珀は古代の生命の遺物を含み、その生命力を宿している一方、
輝石は残留する生命を含んでいるのよ。そしてそれは、星々の生命力でもあるの。
忘れてはならないのは、輝石の魔術は、星々とその中の生命の研究であるということよ。
「琥珀」というのは樹脂の化石のことです。
樹脂という部分が黄金樹と関係しそうですが、それなら「黄金の琥珀」というワードが黄金樹の琥珀を指しているのでしょうか…
宇宙の樹脂の化石=残留する生命=星々の生命力?
遺跡石
遺跡の降る地で
その残骸の側などで見出される小片アイテム製作に用いる素材のひとつで
そのまま投げつけることもできるそれは空にある神殿の一部であるといい
その内には、光が溜まっている
明らかに天空神殿の存在を示唆するテキストです。
現在の狭間の地に存在しているかは不明ですが、少なくとも過去から現在までの時点で存在したことは確かなようです。
この記事後半のリークマップについての記載部分で詳しく考察します。
重隕石の破片
隕石の落下後に見出される石片
その中でも、特に重く重力を帯びたものFPを消費し、地面に投げつけ
重力の衝撃を発生させるこれを漁る、みすぼらしい者たちは
自らを「星呼び」と称している
「隕石の落下後…」などのテキストから、狭間の地には隕石が落下していることがわかります。
「星呼び」という名前もSF感あります。”隕石”や”星”というキーワードはBloodborneでも数多く登場します。
みすぼらしい者たちにとってこの破片を漁る行為が「星を呼ぶ」…
「星呼び」とは隕石を落下させることと捉えることもできます。
隕石は重力によって引き寄せられるため、重力を帯びたこの石片を集めれば隕石(星)を呼び寄せられるのでは…と信じられているのかもしれません。
”隕石”や”重力”はエルデンリングの重要なキーワードのように思えます。
遠眼鏡
カーリア王家の人々の星見の道具
その一部が取り外され、持ち出されたもの
遠くの景色が大きく見える黄金樹の時代、カーリアの星見は廃れていった
夜空にあった運命は、黄金の律に縛られたのだ
”星見”、”夜空”というワードはBloodborneでも登場します。
例:星見盤、夜空の瞳 等
「星見」=星の観測、星占い、占星術
カーリア王家という派閥があり、そこでは昔から星見が慣習として行われていたようですが、なぜか黄金樹の時代が到来すると、その星見は廃れていったようです。
そしてそれは「黄金の律に縛られた」ことが原因、という感じで書かれています。
「夜空にあった運命」というのは星見(占星術)でいうところの「星の配置(太陽・月・惑星・小惑星などの天体の位置や動き)」のことだと思います。
占星術はそれをもとに人間や社会の在り方など、ある種の運命を占うからです。
夜空にあった運命が黄金の律に縛られた=天体の動きが固定された、という形に言い換えることができるかもしれません。
もし本当に天体の動きが固定されてしまったなら、星見は意味がなくなるため、廃れるのは筋が通ります。
問題はなぜ固定されてしまったのか。
テキストからして、固定されたのは黄金樹の時代に突入したことと関係がありそうです。
黄金樹の時代と呼ぶからには、すでに黄金樹が存在していないとおかしいです。
初めて黄金樹が姿を現したか、芽を出し生え始めたか、成長の最盛期を迎えたか、のどれかの時期だと思います。
黄金樹が現れたことにより、天体の動きが固定されたのか?
何かの天変地異があり、黄金樹が現れ、同時に天体も固定されたのか?
考えてみると、天体はそもそも固定されています。(厳密にいうと、遠すぎて動いていないように見えます)
天体が動いているように見えるのは、実際は地球が自転しているからです。
この要素をもとに考えてみると、
・狭間の地がある世界(惑星)の自転が停止した
・狭間の地ごと惑星から遊離して宇宙に漂うようになった(自転の影響がなくなった)
・狭間の地が別世界(別空間、別次元)に飛ばされた
などのケースが考えられると思います。
あと別の視点で思いつくのは、ゼルダの伝説ムジュラの仮面のような「タイムループ」設定ですが…
蛸たま
乳白色に膨らんだ、陸ダコの卵巣
アイテム製作に用いる素材のひとつ
陸ダコは繁殖のために人を喰う
卵巣の赤い血は、人血である
CNTプレイでの画像や動画の公開は禁止されているため載せられませんが、陸ダコの外見は他の自然動物たちと比べて明らかに異質でした。
タコかどうかも分からないようなグロテスクな見た目と、浜辺に生息していることも相まってクトゥルフを想起させられます。
そしてこの卵巣の見た目や、あえて”卵巣””人血”を登場させる点も、Bloodborne後半にありそうな宇宙的雰囲気が漂っています。
どんなアイテムの製作に必要なのかはまだ不明なままです。
霊クラゲの遺灰
霊魂の宿った遺灰
霊クラゲの霊体を召喚する
(召喚にはFPを消費する)
ふわふわと辺りを照らす霊体
どうやらそれは、少女の霊であるようで
共に星を見るはずの妹を、ずっと探している
気になるのは、なぜあえてクラゲなのか、という点。
周辺の敵や他の霊体と比べて浮いている印象です。なぜ少女の霊がクラゲに?
”軟体生物”や”海”といった要素がクトゥルフを連想できます。
また、「星を見るはずの妹」が、Bloodborneのボス『星の娘、エーブリエタース』を彷彿とさせます。
メテオライト(魔術)
隕石に由来し、重力を用いる輝石魔術
石の肌を持つ白王たちの技
虚空から小隕石を呼び、落下させる
使用し続ける間、隕石落下は続く
太古地下に滅びた、永遠の都では
隕石は星と同じ意味を持ったという
クトゥルフのニオイがプンプンするテキスト。
永遠の都なのに滅びたの?という印象です。
地下で滅びたものの、土砂で埋まったりすることなく永遠に存在し続けるという意味でしょうか…
このテキストからも、隕石と重力はエルデンリングの世界観に密接な関係があると推測できます。
獣爪(祈祷)
獣の司祭グラングが死根を摘む者に授ける祈祷のひとつ
獣爪を生じ、衝撃で大地を引き裂く タメ使用で強化される
かつてグラングは、恐ろしい獣であったという
古き名が、デミゴッドの死を意味するほどに
"獣"、"獣爪"、"恐ろしい獣"というと、Bloodborneを思い出します。
「死根を摘む者に授ける祈祷」ということは、今作もソウルシリーズのように”派閥”のようなものがあり、「死根を摘む者」という派閥のトップが獣の司祭グラング、という形かもしれません。
「恐ろしい獣」というのが異名なのか、本当に生物としての獣なのかはまだ不明ですが、「獣の司祭」という感じからして後者な気がします。
「古き名がデミゴッドの死を意味する」ということは、かつてのグラングはデミゴッドを殺したことがありそうです。
しかも1人殺したくらいでは「死を意味する」程にはならないと思うので、数多くのデミゴッドを殺したのかもしれません。
なぜそうしたかは分かりませんが、もしかするとグラングも褪せ人だった可能性があります。
もし元が褪せ人だったとすると、プレイヤーの褪せ人もゆくゆくは獣になる能力を取得できる可能性があるかもしれません。
そしてそれは”派閥”のランクを極めた者に与えられるものかもしれません。
ただ、「古き」というのがどれくらい過去のことなのかわからないので、褪せ人に祝福の導きがもたらされるより昔や、デミゴッドたちが狂う前の時代のことだったとも考えられます。
狂い火(祈祷)
狂える三本指に由来する祈祷
その瞳から、黄色い狂い火を迸らせる
人だけを発狂させ、タメ使用で強化される
それは、狂い火で瞳が爛れた病み人たちの
堪えきれぬ落涙であり、狂的な痛みを伴う
"発狂"、"瞳"というワードから、Bloodborneのように宇宙的悪夢の存在を感じます。
狭間の地では、「3」という数字は不吉の前兆として扱われているそうです。
「狂い火」と呼ぶからには、普通の火ではなく、ステータス「発狂」に関係する技でしょうか。
実際にCNTでは、ストームヴィル城にいる多腕ミニボスの叫び声を何回か聞くと、プレイヤーキャラが両目から黄色い火を噴きだしながら頭を抱えて悶える様子が確認されています。
その状態がこのテキストの「瞳が爛れた」状態なのかもしれません。
リークマップからの考察
ここからはRedditに載っていた、Mordecai氏が情報源となってリークされたマップをもとに考察してみます。
なおMordecai氏は、このリークマップは古いものであり、2017年か2018年時点でのコンセプトマップであることを強調しています。
▲マップ中央部分に、自然の成り行きで形成されたとは思えないようなキレイな球状の窪みがあります。
一部ではこれが隕石の落下による巨大なクレーターだと考察されています。
アイテムテキストでも隕石落下に関する記述があるので可能性は十分あります。
ですが、仮に隕石落下によるものだとすると、周辺は隕石衝突時の衝撃波と爆風などでグシャグシャに荒れているはずです。
なのに黄金樹周りにあるウォールマリアやウォールローゼのような壁は、まるでそこから切断されたかのように形を保っています。
そして衝突でできた穴の外周地形は山のように土地が隆起しますが、このマップからそうした特徴はあまり見られません。
個人的には、これは隕石落下による穴ではなく、この部分の陸地だけが何らかの原因で「天空の城ラピュタ」のように浮上した痕跡か、もしくは別次元へ飛ばされたor消滅した痕跡なのでは、と考えています。
陸地が浮上したケースを考えると、遺跡石のテキストに「天空の神殿」というワードが出てくるので、もとは地上にあった神殿が空中に浮かびあがり、そこからリムグレイブおよび狭間の地へ多数の遺跡や遺跡石、土偶巨人などが降り注いだ可能性があります。
実際、CNTで平原に横たわっていた土偶巨人は、最初からHPが半分の状態で存在していたため、空からの落下によって予めHPが削られていたものと推測できます。
なぜ浮上したかまで推測するのは難しいですが、エルデンリングには重力に関係する魔術が登場するので、もしかしたら重力に関する天変地異が過去に発生したのかもしれません。そしてその重力(または磁場)変化は、やはり隕石に起因するかもしれません。
もしかすると、プロローグにある「大いなる意思に見捨てられた」というのは、この天変地異のことを指しているのかもしれません。
エルデンリングのデビュートレーラーに映った赤毛の巨人が持つ大剣の紋章が、CNTで確認された重力を用いる輝石魔術「メテオライト」詠唱時の紋章と似ていることや、地球の磁場を表す図の見た目が似ていることなども、この考察を深める要素になっています。
重力に関してはさらに、デビュートレーラーで金髪の人物が何かをハンマーで砕き終わった?あとに、周囲に浮かんでいた破片がパラパラと落下する様子が映っていたり、ゲームプレイトレーラーで崩れた壁が浮遊しているエリアが映っていたり、リーク動画でも瓦礫が空中に浮かんでいる空間が映っていたりするので、かなり重要な要素であると思われます。
陸地が別次元へ飛ばされたケースを考えると、黄金樹はラスボスと対峙する場所ではなく、その別次元へと繋がる架け橋のような役目があるオブジェクトという捉え方もできます。
実際、動画などを確認すると黄金樹はホログラムのように透けており、実体を持たない存在のように見えます。
陸地が消滅したケースは、物語としての発展性が狭まってしまいそうなので可能性は低いように思います。
ただ、黄金樹は隕石落下の影響による産物のような気もするものの、そうなるとマップ左下の枯れた黄金樹らしきものは隕石落下地点から遠いんですよね…
プロローグの流れを整理すると、
①黄金樹の根源であるエルデンリングが砕ける
②デミゴッドたちが大ルーン(エルデンリングの破片)を手にして狂い、破砕戦争を起こす
③大いなる意思に見捨てられる
という順番なので、大いなる意思に見捨てられる前から黄金樹は存在していたことになるので、
・黄金樹の起源
・エルデンリングが砕ける
・大いなる意思に見捨てられる
これらは別々の出来事であると考えるべきだと思います。
あくまでも今回のリークマップは、かなり古いコンセプトマップらしいので、実際のマップは全然違う可能性もありますが、せめて文字だけでもはっきり読み取りたかったです。
どうしてこういうリーク系って、リーク動画然り画質が粗いんでしょうか…
本物っぽく見せるためか、データのサルベージ?とかの関係でこれが限界なのか、ファイルじゃなく写真を撮っているせいなのか、よくわかりません…
もともとこういう地形で、黄金樹の周りを守るように後から壁を立てただけ…という見方も勿論できますが、それだとあまりロマンがないので、なにか意味のある地形ならおもしろいなと思います。