資料まとめ
宮崎氏インタビュー
マーティン氏が本作の神話を書き下ろしてくれた。それは魅力的なキャラクターたちとドラマ、神秘と謎に彩られていた。
本作を強固なストーリーを辿るようなゲームにする意図はない。また、マーティン氏のビジョンを、我々のゲームの都合で曲げるようなことも、望んではいない。
そうしたいくつかの事情、意図により、「我々が作るゲーム本編のはるか昔、その前提、土台となるような神話を書いていただけませんか」という話になった。
指輪物語は特に参照していない。ファンタジー小説の古典なので、当然なにかしらの形で影響を受けてはいるが、モチーフにはしていない。
今作に登場する大ボスはどれもマーティンさんが書いてくれた神話の登場人物。
マーティンがこれらのキャラクターを書き、エルデンリングの世界の神話の起源を提供したとき、これらの半神は彼らの本来の姿に近く、「粉砕」の前、すべてが始まる前の当時は人間の姿に近かったかもしれない。
{神肌の使徒のコンセプトアートについて}
本作の世界あるいは物語が持つ、一種の異様な側面、ほの暗さを象徴するキャラクター。
『ELDEN RING』は王道のダークファンタジーだが、決してそれだけではない。
そしてあのキャラクターは、その一種の異様さのほかに、もうひとつのテーマ「人の意志、あるいは野心」の象徴。
本作『エルデンリング』の目指したところは、ひと言で言えば『ダークソウル』シリーズの王道進化。
『ダークソウル』らしさには拘泥せず、また逆に、結果として『ダークソウル』シリーズに似てしまうことも忌避せず、我々が培ったもろもろのノウハウを率直に活かし、新しいダークファンタジーを作ろう、というのが、本作の方向性。
本作は、たとえば『SEKIRO』のような、特定の主人公を想定していない。
本作の世界観的には、祝福の導きは神の啓示に近いものだが、一方で絶対的なものではない。
“導き”に従うのも、疑問を持つのも、プレイヤーの自由。
世界観的な側面を離れると、“導き”は最初のガイドという役割もある。
この世界では黄金時代が過ぎ去っており、プレイヤーはその痕跡を目にできるというのが、演出したかった感覚。
黄金樹は世界観の芯であるエルデンリングの視覚化であり、本作のキービジュアルになるよう考えた。
当初は“リング”とは呼ばれていなかったが、エルデンリング的な存在と、それが砕けるという契機のイメージは、マーティン氏にお話しした。ただし、それはあくまでも抽象的な概念として話され、黄金樹などの具体的モチーフは、そのころはまだ存在していなかった。
月には重要な役割があり、世界観と物語に深くかかわる。
本作の世界観は情報量が多く、その情報量を表現する手段のひとつとして、紋章や絵画、意匠を利用している。
侍の格好は世界観を広げるための一環ではなく、ただ好みとして和風装備を入れたかった。
考察
インタビュー
- マーティン氏の考案した神話の時点で謎が残されている、ということは、そもそも答えが用意されていない要素がある
- 指輪物語は参照していない、ということなので、たとえ似ている要素があったとしても、意図的に真似たり寄せたりしているわけではなさそう
- 『ELDEN RING』は特定の主人公を想定していない
インタビューのなかで宮崎氏は、プレイする人のロールプレイ性を重んじている
褪せ人の出自は物語的には重要ではなく、素性選択時や顔タイプ選択時のテキストはあくまでフレーバーと思われる - デミゴッドたちは破砕戦争(エルデンリングが砕かれる前)、人間の姿に近かったかもしれないが、大ルーンを得たことで現在のような異形になってしまった
忌み子であるモーゴットやモーグ以外のデミゴッドたちは、マリカやラダゴン、ゴッドフレイのように、人間と変わらない見た目をしていたと思われる
火山館の客間には、正常な姿だった頃のラダーンと思われる肖像画が飾ってある - 『ELDEN RING』のテーマの一つは「人の意志、あるいは野心」
人の意志、野心として思い当たるものは、
・褪せ人(プレイヤー):エルデの王になろうとする
・メリナ:プレイヤーをエルデの王にさせたい
・金仮面卿:黄金律を完全なものにしたい
・フィア:死に生きる理を、律の一部としたい
・糞喰い:律のすべてを穢したい
・セレン:輝石魔術の源流の復興を目指す
・ミリセント:かつてマレニアのものだった意志を返したい など
人だけでなく、デミゴッドたちもやりたいこと、野心を抱えている - 「黄金樹はエルデンリングの視覚化」とされていることから、黄金樹=エルデンリングと言い換えてよさそう
- 紋章や絵画や意匠は、単なる雰囲気作りのためのものではなく、世界観を構築する情報の一部と捉えられる